不動産の売却では、全部ではなく一部だけ売りたいこともあるでしょう。
その際は分筆すると、一部だけ売ることができます。
そこで今回は不動産の売却を検討している方に向けて、分筆とはなにか、メリットや流れなども踏まえながらご説明します。
不動産を分けて売却することが可能になる「分筆」とは?
分筆とは、一つの土地を複数の土地に分けて登記することです。
登記上は別の土地になるため、一部だけ売却したいときや、相続で得た土地の所有権を複数の相続人で分けたい場合などにおすすめです。
似ている言葉に「分割」がありますが、こちらは登記手続きをしません。
分割は、一つの土地に複数の建物を建てたい場合などに有効な方法なので、違いを覚えておきましょう。
不動産を売却する際に分筆するメリットとは?
分筆は不動産の売却以外にも、土地の地目を分けたいときや、一部だけに抵当権を設定したいときなどにも有効な方法です。
そのため、「土地の活用範囲が広がる」ことが大きなメリットだと言えるでしょう。
なお、不動産の一部を売却する方法は、他にも「所有権の一部を売る方法」や「共有名義の持ち分を売る方法」などがあります。
ただ、権利関係が複雑になるため、トラブルが起こりやすいと考えられます。
その点分筆すれば、一つの不動産の所有者は一人になるため、売却後にトラブルが起こる心配がなくなることもメリットでしょう。
不動産の一部を売却する際は分筆の流れや注意点をしっかりと把握!
不動産を売却するために分筆を考えている場合は、手続きをスムーズに進めるために、流れを把握しておきましょう。
1.土地家屋調査士に測量してもらい、境界を確定する
2.土地の分筆案を決める
3.隣地の所有者などに立ち会いしてもらい、同意を得る
4.境界標を設置する
5.登記の手続きをする
登記が完了するまでの目安は1~3か月ほどなので、スケジュールには余裕を持つように心がけましょう。
なお、分筆における注意点でとくに覚えておきたいことは、「利用価値がなくならないようにすること」です。
たとえば、接道義務を満たしていない土地には、建物を建てられません。
他にも、土地の形状によって使いづらくなってしまう可能性もありますから、その点も踏まえながら分け方を考えましょう。
また、分筆には登録免許税だけではなく、測量費がかかることも注意点です。
登録免許税は一つの土地につき1,000円ですが、測量費は数十万円かかることもあるため、費用をしっかりと準備しておきましょう。